2010年も明けてすぐの1月11日、16時を過ぎようとする頃、渋谷のライブハウス「渋谷Duo」に人が集まり始める。
この日は『OVER910LIVE REVENGE』が予定されていた。
前年11月2日に開催された『OVER910LIVE』は、期待されていたアーティストが体調不良などから直前で出演を断念。
イベント自体は盛り上がりを見せたが、やはり残念な気持ちを味わったスタッフやオーディエンスは少なくなかった。
この日はタイトル通り、11月2日のリヴェンジ・イベント。 とはいえ、その言葉から連想さえるような殺伐とした感じはなく、ライヴへのワクワク感が集まったファンの間から伝わってくるようだった。
会場は17時。そして30分後、細井聡司がステージに上がる。スタートしたのはDJタイム。 こうした催しでは珍しいオープニングだが、前回を経験しているオーディエンスが多いせいかすんなりと受け入れられているようだ。 6分通り埋まったフロアは、細井のリードに引きずられるように徐々にテンションが上がっていく。 そしてクライマックスは、細井聡司が初めて『初音ミク』を使った『雪だるマークのサンタクロース』。 屈指のメロディーメーカーたる細井聡司の本領発揮とも言えるのこの曲に、大きな歓声が上がる。 初音ミクをフィーチャーしたPVへの反応も上々で、イベントのオープニングにして、早くもフロアの期待感を爆発させることに成功した。
ここで加瀬愛奈がステージに登場。 ファースト・アルバム発表以降、着実に知名度を浸透させつつある加瀬の登場に、オーディエンスから拍手が起きる。 『OVER910LIVE REVENGE』の目玉は、各アーティストのコラボレーション。 細井聡司と加瀬愛奈のコラボレーションで演奏されたのは、加瀬愛奈のファースト・アルバム『ai』にも収録されている『君から始まる奇跡』と『crystallize』だ。 普段一人でステージに立つことの多い加瀬だが、細井聡司と一緒のステージはいつも以上の安定感が感じられた。
このあと、細井聡司がステージを降り、加瀬愛奈のソロで『We can go!』『君に続く軌跡』『SONG』を披露。 アルバムを発表後のライヴで感じるのは、楽曲のバリエーションが飛躍的に広がったこと。 特にラストの『SONG』は、今後のライヴでも定番の1曲になるのではないだろうか。
ここで再びコラボ・タイム。ステージに佐藤ひろ美が呼びこまれ、フロアからは一段と大きな歓声が起きる。 コラボするのは『Promise~月夜の記憶~』。PCゲーム『マジスキ』の主題歌であるこの曲は、本来は佐藤ひろ美とNANAのデュエット曲。 しかしライブでは加瀬愛奈とのデュエットで歌われることが多い。 実は加瀬にとっても楽しみなデュエットのようだが、これまで佐藤ひろ美がPCゲーム業界に残してきた足跡を振り返れば、さもありなんといったところだろう。
2010年にデビュー10周年を迎える佐藤ひろ美。 この日はその幕開けのイベントだったが、セットリストには懐かしい楽曲も多く、古くからのファンにとっては嬉しいステージだったのではないか。 『Guri Guri』で大合唱し、『みずいろ』でブルーのサイリウムが振られ、『ラブレター』で懐かしいコールが入る。 「今年は色々活動していくよ!」の声への大歓声は、まさに彼女が10年の間に培ってきたものだったのではないだろうか。
佐藤ひろ美がステージを降りて、少しのインターバル。そしてどこかで見たような姿がステージに上る。 アニメちっくアイドルとして活躍中の桃知みなみだ。そしてどこからともなく、聞き覚えのある声。 冬のコミックマーケットでサーカスファンの話題をさらった初音島未来だ。桃知みなみはダンサーとしてのゲスト参戦。 ひとしきりのトークの後、『未来の友達』が歌われる。 全体の流れからみれば箸休め的なコーナーの印象があったが、オーディエンスの反応は極上。 テンションを落とさないまま次につなげた演出は流石だ。
続いてはブシロードのPRコーナーとして、『ミルキィホームズ』の声優三人と、木谷高明社長がステージに。 手慣れた感じのPRトークの後に歌われたのは、「まだ『ミルキィホームズ』の歌がない」ということで、『熱風大陸ブシロード』。 木谷氏のイベントでは知らぬ人のない名曲に、サビの大合唱まで起きる盛り上がりだった。
その盛り上がりを、さらに拡大させたのが、次に登場したデートコース。 PCゲーム『マジスキ』から飛び出したアイドル・ユニットは、この日も大きな拍手で迎えられる。 民安ともえ、みるく、加瀬愛奈の3人のトークも軽快で、イベントの空気感を決して緩めないあたりは流石の一言だ。
この日歌われたのは『抱きしめて欲しいよ』『いちゃいちゃプリンセス!』『キラキラッ☆-twinkle star light-』『tommorw keep shining』の4曲。 PCゲーム業界が主催する「萌えゲーアワード2009」で話題賞を獲得したというトークでは、そこここから「おめでとう!」の声が上がっていた。
ここまでくればイベントも終盤戦。プログラムも一気に加速していく。ステージに上がったのはyozuca*。 11月2日には急きょキャンセルせざるを得なかったため、オーディエンスは完全ウェルカム・モードでyozuca*を迎える。 それに応えるように1曲目は『ダ・カーポII ~あさきゆめみし君と~』。yozuca*にとっても、ファンにとっても、とても重要な歌からのスタートだ。
この日は『No ruLe』や『コーヒー』など、ゲーム系のイベントではあまり演奏されない楽曲もセットに含まれており、ファンの反応も上々。 時間以上に充実感のあるステージだった。そしてラスト2曲ではLittle Nonとのコラボステージ。 前回のリヴェンジとなる『S.S.D』、そして『サイレントヴォイス』が演奏される。 やはりyozuca*のパワフルでエモーショナルな歌声にはバンド・サウンドがよく似合う。それを再認識させてくれたステージだった。
ラストを飾るのはLittleNonだ。 yozuca*とのコラボの後の1曲目は『Flying The Sky』。この曲でLittleNonはオーディエンスをガッチリと掴む。 『Cheer Up!』『Sweet Love Flag』、そしてMCを挟んで『愛情◎エデュケイション』と、イベントのラストを一気に盛り上げていくLittleNon。 そしてここで加瀬愛奈を呼び込み、この日最後のコラボレーションは、お馴染みの『ハナマル☆センセイション』だ。 フロアのテンションも一気に爆発し、会場いっぱいの大合唱となる。新年早々にもかかわらず、とにかく熱いステージなのだ。
そして最後の1曲『Little Hope』を演奏後には、ステージ上もフロアもやりつくした満足感が支配する。 ヴォーカルのノゾミの呼び込みで出演者全員がステージへ。大きな拍手は、決しておざなりではない。
約3時間があっという間だった『OVER910LIVE REVENGE』は、まさにそのREVENGEに成功したと言えるエンディングを迎えたのだ。
フロアの埋まり具合は7割強。しかしステージ上から感じた熱気は満員に引けを取らない熱さだった。
スタートしたばかりの小さなイベントは、出演者のクオリティーの高いステージに加え、それを支えるオーディエンスの熱さも相まって、実に高密度なイベントとなった。
言うまでもなくREVENGEには成功した『OVER910LIVE』。では次は? このまま終わりにするには、あまりにももったいない。
「もっともっと」のアンコールは、次のイベントを望む声だったのではないだろうか。
(レポート:今俊郎)

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