リレーコラム 第1回:山川竜一郎さん(フロントウイング・プロデューサー)

 佐藤さん10周年おめでとうございます。

 佐藤さんとはじめて出会ったのは、今を去ること10年前の1999年の年末、何を血迷ったか、我がフロントウイングはソフトを1本も出してないのにコミケに企業ブースを出展していました。

 その際に企業ブースをスタッフに任せ、音楽ブースを見に行きました。今は花形ジャンルの音楽ブースですが、当時は50ブース程しかなく、全部見ても30分もかからない程度でした。そのとき、弊社デビュー作『カナリア』の歌手を探していたので、視聴できそうなところは片っ端から聞いていきました。

 そこで、おっと思ったのが佐藤さんの歌声でした。佐藤さんが売り子をしていて、
 僕「これ誰が歌っているんですか?←間抜けな質問」
 佐藤「私が歌っています(ハート)」
 見たいなやり取りがあり、早速購入させていただきました。

 その後、実際にボーカルを決める作業に入ったのですが、そのゲームは、当時としては斬新なキャラクターごとのエンディング曲が全部違うという、「いくらかかるんだよおい」という企画がありまして、歌手を5人程度決めなくてはいけませんでした。様々な事務所さんからいただいた何十人というサンプルを聞いたのですが、その際に、コミケで買ったCDも一緒に聞いてみました。その透き通る歌声に、この人も加えたいと思い、デビュー曲『シールド』を歌っていただくことになりました。

 『シールド』は作詞・桑島由一、作編曲・上松範康 という豪華ラインナップ!今では珍しくないかもしれないけど、全員これがデビュー作です!すごい冒険だよね。全部新人って何よ。しかも、その後全員売れた。10年食べていってるってすごいよね。

 歌詞も由一節全開で「片目をつむってキスをした」ってなんだよ。中二か?由一君の歌詞には本当によく「キス」という単語が出てきます。チュー好きだなおい。

 で、レコーディングなんですが、初めての本格レコーディングだったようで、佐藤さんガタガタ震えていたんですよ。多分、悪い人にだまされた。この後、壷を買わされると思ったのでしょう。でも、歌ってみると、本当に心がこもってて聞いてる僕もなぜだか泣けました。この曲はシナリオともマッチしてて良い曲なんです。

 しかし、佐藤さんはすごいよ。人間できてるもん。なかなかこんなすばらしい人いない。愛想がよく礼儀正しい。今や社長ですが、そういう構えたところが無い。すばらしい物件です。物件?

 そんな感じです。その後のことは、次の人に任せます!

プロフィール

山川竜一郎:『カナリア ~この想いを歌に乗せて~』『私立アキハバラ学園』『ほしうた』などを手掛ける美少女ゲームメーカー、「フロントウイング」プロデューサー。